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*まだいしのなかにいる*

三体Ⅲ 死神永生 灯台永遠・・・【ネタバレ注意】

三体完結編となる第3巻死神永生を読んだ。2巻のラストで暗黒森林抑止が成立して、見事なほどキリの良い終わり方をしていた。このあとどうするんだろ?って気になってしょうがなかった。待ちに待った第三部!その「三体Ⅲ死神永生(上)」の冒頭が15世紀のコンスタンティノープル包囲戦から始まったのには本当に驚いた。

これではシモンズのイリアムではないか^^

当初から三部作と聞いていたので、続きがあることはわかっていたんだけど、第二部があまりにも見事な終わり方だった。普通、三部作で第二部の終わりというと、閑話休題の終わり、もしくは起承転結の転のあたりで、なんとも中途半端なぶった切り方をされることがおおいのだが。三体にかぎってはそうではない。第一部も、第二部も、完成度が高く。それらだけで成立している。

スピード感も全く衰えず、想像もつかない驚きの連続がつづく。いい意味でどんどん裏切られていく、まだこんなにSFの想像力は展開できるとは!冬眠につぐ冬眠で時代をぶっ切るという荒技も気持ちよいw。時間はどんどん進でいく、状況はどんどん変わる、新しい技術が次々と出てくる。既存のSF的展開をはるかに超えていた。「三体」から「三体Ⅱ」へ、一瞬たりとも後ろを振り返らずに、「三体II」では八方塞がり、三すくみの状態で見事ジエンドかと思ったんだが・・・

からないことだらけで始まり、空想=荒唐無稽な想像をひろげ、宇宙の深淵へと想いをのばす。その先にはバラ色の花咲く未来があると思いがちだg、新事実を一つひとつと知っていくことで、つには暗黒が立ち塞がるとは!それが第二部までで、そしてその先へ、、、とうとう最終巻を読み終えた満足感と読み終えてしまった寂しさだ。

そして時間を超越するラブストーリーであったとは!お見事!!

ホラ話のスケールがでかすぎて^^;時は加速する。登場人物でもピカイチキャラのウェイドじゃないが、、、

「前へ!前へ!なにがあろうと前へ!」

もはや「三体問題」なんてどうでもよい。これほどまでに宇宙は残酷で美しいとは、歳を経るにつれ夜空を見上げる機会は減ってしまったが、子供の頃見上げる夜空には、僕らがまだ知らない輝かしい文明をもつ宇宙人の銀河がひろがっていたはず。だがここで描かれる大宇宙の恐怖感はどうだろう。恐れおののくとともに、とうとう最終巻を読み終えた満足感と読み終えてしまった寂しさをも味わされた。

宇宙に綺麗な星空に夢を描いた子供の頃、、、今では夜空を見上げることも感慨に耽ることもなくなった。空想する力が衰えたからか、いつの間にか夜空を見上げても、、、TVや映画で見るSF世界観しか・・・西洋的な視点での限定された宇宙・・・想像できなくなってしまった僕ら。もう到底追いつけない世界観があるのだ。ということを改めて気付かされた衝撃だな。

大風呂敷をどこまで広げられるか!

中国SFという色眼鏡で読み始めたことは否定しない。以前読んだ「折りたたみ北京」が秀逸だったこともある。またそのSF感覚(アジア的発想?)に惹かたのだった。SF的フィクションどこまで広げて描けるか、その国の暮らしぶりが基礎的な素養となって、その土台の上に想像力は展開される。

作中作である寓話の完成度の高さ。それだけではないが幾つものテーマで作品ができそうだ。とつの物語になっていて、その完成度は高い。「三体」にはいくつもの短篇が折り重なるように次元を超越してたたみ込まれている。

リアリテイを感じられるか否かなんて、そんなことはどうでもよい。面白ければ正義だ!

万有引力〉と〈藍色空間〉はドコへ行ってしまったのか!それだけでもまた話ができるんじゃないか!?あ、智子の一生も彼女の視点で語って欲しい。史強の活躍するだけの活劇も読みたい。雲天明だってどう生き延びたのか知りたい!!!

スターウォーズみたいに、明らかに西欧人が想像するスペースオペラ(あれ?元ネタは隠し砦の三悪人だっけ?)とは異なる。決して明朗快活ではないけれど、スケール感の広大さはどうだ。世界観の違いを再認識させられた。アジア人特有の、、、中国の影響は我ら日本人の精神にここまで色濃く影響してたるのだと、改めて思い知らされた。こういう宇宙の広がりは、西洋的には理解されないんじゃないか?

大東亜の夢は中国からはじまるのかもしれない