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*いしのなかにいる*

我らが少女A

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どっと疲れた。読むうちにどんどんと沈殿していくこの粉っぽいもの。幾人もの想念が渦巻き、そして停滞してく。でも疲れの蓄積に逆らうように頁をめくる手はとまらない。沈殿していくものを、自ら腹の内に雑多なままため込んでいってしまう、、、

え、!合田刑事、警視だ。あと3年で退職って、、、あ、そうか、そうだったのか。なんで彼がこうも気になるのか。その理由が分かったきがする。

ン十年ぶりに来た大江ブームの合間に、あ、合田雄一郎シリーズだ!と、手に取ってしまったのがこの本。またしても合田雄一郎はスマートに、サスペンスを解決しない。もはや、これはサスペンスでさえないような。ある一つの事件の周辺を、一つ、一つ、さざ波を立てながら話は展開していくだけ。合田もそうした波紋のひとつ。

今思い起こせば、初期の『マークスの山』、『レディ・ジョーカー』あたりは、まだサスペンス風味も色濃くでていて、わくわくと読めた。が、『太陽を曳く馬』で挫折することになる^^;、、、その先にでていた別シリーズの『晴子情歌』や『新リア王』で散々な目にあっていたのに、合田雄一郎シリーズと聞いて期待するも、「なんだこれは」と一人呟く結果になったのだったはず。

高村薫の作品が変わったからか、読み手の自分の覚悟が欠落していったからか。ずいぶん悩んだ記憶がある。実際ここ10年ほどの作品は難解というか、主題が何なのかわからないまま、何か引かれるまま読むだけで、読みこなせた実感がないものばかりだった。

それが、この『我らが少女A』は、あれ?なんだか読みやすいぞ。とまずとっかかりは良かったのだった。合田はなんと警視!うわ出世している、、、どころか警察学校で教鞭を執っている。うはは!でもって退職まであと3年。え?同い年なの!!!うわは!!!この衝撃がわかりますか!☆!どこで、僕は年の重ね方をまちがえてしまっtのだろうと、マジに汗かいたw。

そして、作中で合田刑事はあいかわらず(?)事件を解決するわけでなく。あいかわらず義兄との微妙な関係、、、これってBLだよな、おっさんずラブだよな、、を続けている。というサイドストーリーにココロ踊らせ楽しむもよし!だ。チクショウメ!

ある未解決事件の周辺の、湿った冷たい波紋が幾重にも描かれる。もはや合田刑事は主人公でさえない。波紋の一つだ。いくつもの波紋が重なり合い、その重なった部分だけが新たな重力を発生させていく。幾重にも重なる線の上に、その土地の磁力だけが高まっていき、遂には、、、ボン!と爆発はしない。

舞台となった多摩川周辺のいろんな光景が、それぞれの登場人物の想念と重なって、脳裏に刻まれた。その痕跡をさがしに走りに行きたくなった。職質はされたくはないけれど、デジカメ片手に、ジョギング姿で市井の写真を撮りながら、土手へ向けて走って行く。そんな自分の姿が浮かぶ・・・

なに、合田警視が本庁に復帰するだって!定年前に、まだなにやらありそうだナ。また読むだろうな。

我らが少女A

我らが少女A