はずかしながら真藤順丈さんの本はこれが初めて「地図男」の時に読もうと思いつつ結局は手に取らなかった。今回、直木賞を受賞して慌てて読んだのは間違いないが、断っておくが、買ったのは受賞する前だった。買ったのは良いものの後回しにしていたのである。直木賞受賞を聞いて「しまった」と思って慌てて読んだ。他に、読むべきと思った本があってどんどん後回しにしていた、、、
さて、最初、読み始めにあれこれって池上永一さんのノリ?って思った。「テンペスト」、「シャングリ・ラ」の勢いである。話の筋が沖縄話だし、池上さんと同じような作家かとも思った、、、読み進めるうちにそうでないと思ったが、、、実際に沖縄生まれの作家ではなかった。沖縄の戦後史をなぞるように話はすすむ。
池上さんとの一番の違いは土着性の差のように感じた。真藤さんもウタやユタなど登場させ、沖縄の土着の背景を織り込んではいるのだが、池上さんには及ばないと思った。まぁ、そこがこの本の魅力を減じるわけではないが、沖縄の話しは、やはり沖縄出身の人の語りでないと弱いのかと感じた。
話がつまらないわけではない。確かに何度か涙を堪ええさせれる箇所もあったし、歴史をなぞることも丁寧にされている。ただ、勢いが不足してるのかなと感じる。登場人物の振る舞いは魅力的で、はっちゃけてはいる。その描き方は少々乱暴なものだから、「レキオス」、「テンペスト」、「シャングリ・ラ」の雰囲気を感じた。
だが、読み終えた後に、池上作品には及ばないなと感じた。この差はなんだろうと、読了後に振り返ったら、土着性の違いなのかもと思った。うーん、、、。話の本筋はそういう登場人物の勢いとは別にあるから、だから魅力が半減することはないのだけども。池上作品を読んできた読者には「宝島」が」どのように読めたのか、ちょっと気になった。